📋 この記事でわかること
  • 租税特別措置法26条(概算経費の特例)の仕組み
  • 概算経費率の具体的な数字(収入額ごとの早見表)
  • 実額計算との比較——どちらが有利か
  • 選択する際の注意点
  • 都税事務所の照会との関係

「措置法26条」という言葉、確定申告や税務当局からの書類で目にしたことがある先生も多いと思います。医業を行う個人事業主にとって、知っておくと申告時に役立つ経費計算の特例です。

措置法26条(概算経費の特例)とは

租税特別措置法26条は、社会保険診療報酬にかかる所得税の必要経費を、実際にかかった金額(実額)ではなく、収入金額に応じた一定の割合で概算計算できる特例です。

通常、必要経費は「実際にいくら使ったか」を一つひとつ集計して計算します。しかし医業の場合、社会保険診療報酬に対応する経費を正確に按分することは手間がかかります。そこでこの特例を使うと、「収入がこの金額なら経費はこのくらい」という形で、概算で計算できるようになります。

社会保険診療報酬の概算経費率(収入金額別早見表)

概算経費として認められる割合は、社会保険診療報酬の収入金額に応じて以下のように定められています。

社会保険診療報酬の収入金額 概算経費として認められる金額
2,500万円以下の部分 収入金額 × 72%
2,500万円超〜3,000万円以下の部分 収入金額 × 70% + 50万円
3,000万円超〜4,000万円以下の部分 収入金額 × 62% + 290万円
4,000万円超〜5,000万円以下の部分 収入金額 × 57% + 490万円
⚠️ 社会保険診療報酬が5,000万円を超える場合

社会保険診療報酬の収入が5,000万円を超えると、この特例は適用できません。規模が拡大した段階で実額計算に切り替える必要があります。

概算経費と実額経費の比較——どちらが有利か

どちらが有利かは、実際にかかった経費の金額によって異なります。

概算経費が有利なケース
実際の経費が概算経費の割合より少ない場合、概算経費の方が多く計上できるため有利です。開業初期で設備投資が一段落し、経費が安定してきた段階ではこのケースに当てはまることが多くあります。
実額経費が有利なケース
開業直後や設備更新の年など、実際の経費が概算経費の割合を上回る場合は、実額計算の方が有利です。高額な医療機器を購入した年や、スタッフを大幅に増員した年などが該当します。
💡 計算例(社会保険診療報酬が2,000万円の場合)

概算経費:2,000万円 × 72% = 1,440万円

実際の経費が1,440万円より少なければ概算経費が有利、多ければ実額計算が有利、ということになります。

措置法26条を選択する際の注意点

個人事業税の照会と措置法26条の関係

税務当局から届く「医師及び歯科医師等の社会保険診療等に係る収入金額等の明細書」では、この措置法26条を確定申告で選択したかどうかの確認も行われます。

措置法26条は所得税の経費計算に関する特例であり、個人事業税の非課税(社会保険診療報酬にかかる所得は事業税が非課税)とは別の制度です。ただし選択状況が事業税の計算にも関わるため、税務当局はこの書式で合わせて確認しています。

まとめ

措置法26条は、社会保険診療報酬にかかる経費を収入金額に応じた一定割合で概算計算できる特例です。実額計算と比較しながら、その年の状況に応じて有利な方を選択することができます。

※ 本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。制度や運用は変わる場合がありますので、個別のご状況については必ずご相談ください。