📋 この記事でわかること
  • 「医師及び歯科医師等の社会保険診療等に係る収入金額等の明細書」とは何か
  • なぜこの照会が届くのか
  • 提出期限と対応の流れ
  • 措置法26条との関係(詳細は関連記事で解説)

開業後、税務当局から「社会保険診療収入の明細書を提出してください」という書類が届いて、戸惑われる先生は少なくありません。これは個人事業税に関する照会です。慌てる必要はありませんが、提出期限がありますので内容を確認しておきましょう。

社会保険診療収入の明細書とは

この書類の正式名称は「医師及び歯科医師等の社会保険診療等に係る収入金額等の明細書」です。各都道府県の税務当局(県税事務所・都税事務所等)から、医業・歯科医業を行う個人事業主に対して送付されるものです。

個人事業税を正しく計算するために、社会保険診療分と自由診療分の収入内訳を別途報告してほしいという趣旨の照会です。

💡 個人事業税とは

個人事業税は、事業を行う個人にかかる地方税です(国税ではありません)。医業・歯科医業を行う方は、社会保険診療報酬にかかる所得については個人事業税が非課税となります。ただし確定申告書だけでは社会保険診療分と自由診療分の内訳を確認できないため、税務当局はこの書類で別途報告を求めています。

個人事業税の照会が届く理由

所得税の確定申告書(青色申告決算書)には、社会保険診療分と自由診療分を区分して記載する欄がありません。そのため税務当局は確定申告書だけでは個人事業税の計算に必要な内訳が把握できず、医業を行う個人事業主に対して別途この明細書の提出を求める運用になっています。

特に申告内容に問題があったということではなく、医業を営む個人事業主によくある定例の照会です。開業後に初めて届いて驚かれる方も多いのですが、ご安心ください。

📎 措置法26条との関係

この書類では、社会保険診療報酬にかかる所得税の経費計算方法として「租税特別措置法26条(概算経費の特例)」を選択しているかどうかも確認されます。措置法26条は事業税の非課税とは別の制度ですが、選択状況が事業税の計算にも関わるため、内訳とあわせて確認されています。措置法26条の詳細についてはこちらの記事で解説しています。

明細書に記載する収入区分

明細書には以下の3区分の収入金額を記載します。

社会保険診療分——健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療等の診療報酬
自由診療分——保険外の診療報酬(自費診療、健康診断等)
診療分以外——上記以外の事業収入(薬の販売等)

①〜③の合計が、確定申告書の「事業・営業等」欄の収入金額と一致していることを確認してください。

明細書提出の対応手順

1
確定申告書の収入金額を確認する
前年分の確定申告書(青色申告決算書)の「売上(収入)金額」欄を確認します。
2
社保診療分・自由診療分を内訳で確認する
レセプト(診療報酬明細書)の支払通知書等を参照して、社保診療分と自由診療分を区分します。
3
明細書に記入して提出する
書式に必要事項を記入し、関与税理士欄にはその年の確定申告を担当した税理士の情報を記載します。
💡 付表の添付について
確定申告時に社会保険診療分・自由診療分の内訳(医師の付表)を添付していた場合は、税務当局側で情報が確認できているケースもあります。この照会が届いた場合は、前年の確定申告時に付表を添付していたかどうかも確認しておくとよいでしょう。

まとめ

「医師及び歯科医師等の社会保険診療等に係る収入金額等の明細書」の提出依頼は、個人事業税に関する定例の照会です。

※ 本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。制度や運用は変わる場合がありますので、個別のご状況については必ずご相談ください。